こども誰でも通園制度 活用ガイドvol.2~東京都「多様な他者との関わりの創出事業」賢い活用徹底ナビ

「こども誰でも通園制度ナビ」スタッフで保育士のマコです。このサイトは、子育て支援を行うここるくが運営しています。
「こども誰でも通園制度」(※以下、「誰でも通園」)に関する情報発信の一環として、東京都が独自に実施している「多様な他者との関わりの機会の創出事業」(※以下:「多様な他者」)についてご紹介する3回シリーズの第2回目です。
今回はその「多様な他者」に注目し、東京都内の自治体・実施施設によって内容が違う具体例をあげながら、制度をうまく活用するヒントをお届けします。
目次
1.スムーズに利用するための4つのポイント
「多様な他者」を使ってみようかな?と思ったときに、まず押さえておいてもらいたいポイントが4つあります。
○ポイント1:実施している自治体と実施していない自治体がある
東京都には区市町村合わせて62の自治体があり、「多様な他者」が実施されている自治体は昨年2024年度の実績で42自治体(※記事執筆時点で2025年度分は未発表)。残念ながら現在は実施されていない自治体にお住まいでも、新たに追加される場合もありますし、「多様な他者」とは枠組みが異なる「一時預かり事業」が利用できる可能性もあります。また国による「誰でも通園」は2026年4月から全国すべての自治体で利用できることが発表されていますので、今後の情報を待ってみてくださいね。
○ポイント2:「多様な他者」と「誰でも通園」を同時に実施している自治体もある
どちらも「保護者の就労状況は問わない」「保育所や幼稚園等に通っていない未就園児が対象」は共通していますが、枠組みが異なっており、杉並区などの一部の自治体では、「多様な他者」と「誰でも通園」を同時に実施しており、併用可能な場合もあります。
○ポイント3:「多様な他者」に異なる名称も
たとえば「ちょこっと通園」「園体験事業」「未就園児の預かり保育」などのように、制度の枠組みとしては「多様な他者」ですが、別の名称で実施されている自治体もあり、一見「多様な他者」と分かりにくい場合があります。
○ポイント4:区市町村ごとのルールと、実施施設ごとのルール
「多様な他者」は東京都の事業ですが、具体的な実施内容は区市町村ごとに定められています。そのルールの範囲内で、利用可能年齢・利用料金・利用可能時間などの具体的な内容は実施施設により様々なので注意が必要です。
この4つのポイントを見ると、なんだか複雑に感じてしまう方もいるかもしれませんが、この4つを押さえておけば、「多様な他者」を利用したいと思って問合せなどをした時に、ご自身が混乱しなくなるので今後の流れがスムーズになりますよ!
利用してみたい時の具体的なステップは、のちほど解説します。

2.渋谷区・大田区・足立区を比較
「多様な他者」の具体的な内容をイメージするために、先ほどのポイント4で触れた区市町村によるルールの違いについて、現在実施されている渋谷区・大田区・足立区の3つを例にあげて具体的に比べてみましょう。
3つの区で比較する「多様な他者」

参照元
- 渋谷区:ちょこっと通園事業(多様な他者との関わりの機会の創出事業)
- 大田区:多様な他者との関わりの機会の創出事業について
- 足立区:多様な他者との関わりの機会の創出事業を利用される保護者の方(プレ保育等)
「保護者の就労状況は問わない」「保育所や幼稚園等に通っていない未就園児が対象」という点は、「多様な他者」全体で共通していますが、自治体として定めている対象年齢や利用頻度に違いがあることが分かります。
ちなみに、前項のポイント3で触れた「ちょこっと通園事業」という例が、渋谷区で使われている名称にあたります。
3.実施施設による内容を比較
「多様な他者」は、実施施設により利用可能時間や料金も様々です。実施施設による違いを比較するために、渋谷区・大田区・足立区からそれぞれ1園ずつ例を挙げて内容の違いを見ていきましょう。
渋谷区:未来のカプセル原宿保育園
【対象になるお子さんの年齢】生後57日~2歳未満
【利用頻度・利用できる時間帯】週1~2日、(月~金)10:00~16:00
【利用料金】1時間1000円
大田区:光明幼稚園
【対象になるお子さんの年齢】満1歳頃~2歳児
【利用頻度・利用できる時間帯】
・月4回コース 園指定の日(10:00~11:30)
・週5回コース(月~金)9:00~11:00 / 9:00~14:00(延長可)
【利用料金】1時間500円
足立区:足立みどり幼稚園
【対象になるお子さんの年齢】次年度入園を希望している2歳児
【利用頻度・利用できる時間帯】
週1日(火曜日コース・水曜日コース)10:00~12:30
【利用料金】月額3500円
※上記の内容は変更される可能性があります。
こうして見ると、ずいぶん違いがあることが分かります。こういった違いが出る背景には、お住まいの自治体によりこどもの数や保育園・幼稚園・子育て支援センターの数も異なり、また施設側の規模や利用率、保育者の人数なども異なるため、統一したルール化が非常に難しいという事情があると考えられます。
4.「多様な他者との関わりの創出事業」利用へのステップ
ここまで、「多様な他者」を利用したいと思った時にまず押さえておきたいポイントと、自治体や実施施設によって内容が様々であることを見てきました。それでは、実際に利用に向けてどのような手順で進めたらよいかを解説していきます。
①ご自身のお子さんの状況
制度を利用したいお子さんが保育園や幼稚園等に定期的に通っていない未就園の0-2歳のお子さんであれば、利用要件に該当します。
②お住まいの自治体の状況を確認
お住まいの区市町村のホームページや、広報誌、乳幼児健診などで、「多様な他者」に関する情報を見たことがあるという方が多いのではないでしょうか。
これらを見ても良く分からない、最新の情報が得られない場合は、自治体の子育て担当窓口に問合せてみてください。その際、「1.スムーズに利用するための4つのポイント」で押さえたことを頭において「多様な他者」なのか「誰でも通園」なのか、未実施であれば「一時預かり事業」の利用は可能か、近隣の実施施設はどこかを順を追って聞いてみると良いですね。
③近隣の実施施設の状況を確認
実施施設が分かったら、お住まいの地域から行きやすい施設の情報を確認しましょう。実施施設のホームページやSNSなどでの発信が見つからない場合は、問合せフォームへメールを送ったり、電話をかけたりして確認します。
<確認するポイント>
対象年齢 / 利用できる頻度や時間帯 / 料金 / 食事やおやつの提供の有無 / 申込方法や手順 / 親子通園の有無 / 制度利用者専用クラスか、在園児と合同クラスか
その他にも疑問点があれば合わせて確認しましょう。
保育園に電話をする場合は、在園児の登園が落ち着く午前中10~11時頃や、お昼寝の時間に当たる13-15時ころ、幼稚園に電話をする場合は、同じく午前中10-11時頃や、降園が落ち着く14:30-16:30頃だと施設側も応対がしやすいですね。
④事前面談や申込へ
利用申込は、実施施設に直接連絡して行うことがほとんどで、利用可能時間や料金も様々です。
近隣に実施施設が複数ある場合は、ご自身のお子さんの状況に合わせてどこが良いのか検討してみましょう。まだ家族以外に預けたことがない場合は、親子通園ができる施設を選んで徐々に慣れていけると良いでしょうし、お友だちとの関わりを増やしたい場合は、在園児さんたちとの合同クラスで実施している施設を選ぶなどが考えられます。
ほとんどの施設では、利用開始前に担当者とお子さん+保護者による事前面談が行われます。ここでは普段のお子さんの様子のヒアリングやアレルギーについての確認があります。利用したい日がある場合は前もって事前面談を済ませておくとスムーズです。お子さんが今後入園する施設との出会いのきっかけになるかもしれません。分からないことがないようにママパパ側からも質問してみてくださいね。
実際の利用申込方法は施設によって異なり、少し先の予約をオンラインで受付けたり、専用のフォームがあったりなど様々です。事前に確認するようにしてください。

5.「多様な他者との関わりの創出事業」活用で広がる!わが家の子育てスタイル
ここまで、「多様な他者」の基本的なポイントから、自治体や実施施設による違い、そして実際に利用するまでの具体的なステップを見てきました。
お子さんにとっては新しい世界が広がる素敵なチャンス。「多様な他者」を通して、お子さんが家庭では経験できないような「多様な関わり」の中で成長し、いきいきとした表情を見せてくれるでしょう。そして、ママパパにとってはほんの少しでも自分の時間ができたり、子育ての疑問に答えてもらったり、地域とのつながりが生まれたりすることで、子育てが「心かるく あかるく まるく=ここるく」なものになるように願っています。
頼れる制度を積極的に活用して、家族みんなが笑顔になれる子育てライフをデザインしていきましょう。
「多様な他者」シリーズの第1回 【「多様な他者との関わりの創出事業」ってなに?】も公開中!次回は、第3回【「多様な他者との関わりの創出事業」で育つこどもの力】をお届けします。