<金属アレルギー>第1章:金属アレルギーのメカニズムを知りましょう
皆さん、こんにちは。金アレ族代表、金属アレルギーカウンセラーの鈴木久子です。
託児付きランチの「ここるく」のお役立ちコラムとして、「発症すれば一生のお付き合い!子どもを金属アレルギーから守るには?」というテーマで連載する第1回目は、「金属アレルギーのメカニズム」についてです。
0.子どもを金属アレルギーから守るには?
1.金属アレルギーのメカニズムを知りましょう
2.金属アレルギーの体質は遺伝する?
3.自分の子供に「ピアスをしたい」と告げられた時 知っておくべき事
4.これって金属アレルギーなの?
5.金属アレルギーの「予防的」アクセサリー
6.金属アレルギーのお子さまが日常生活で気をつけるべき点
どんなアレルギーにも発症のきっかけがありますが、金属はいつ、どのようにアレルギーになってしまうのか。
実はつい最近までこのメカニズムはわかっていませんでした。
しかし東北大学の研究グループがついに発見し、発症には「スイッチ」があるということが分かりました。
その発症のスイッチとは??!
「金属+汗+菌+傷」
この4つがそろった時、体の警備係である白血球がある活動をします。
① まずは白血球が増殖しながら菌と戦う
② この時白血球は活性化している状態
③ この時に、「金属」が一緒に体内に入っていると・・
④ 金属にも白血球の担当が付き、増殖して戦い始めます。この時が「アレルギー体質」に変化したと言える
⑤ その後もただ、「金属」だけが入ってきた時には「異物」として白血球は戦い始めます。この時白血球が炎症物質を出しながら異物と戦うため、湿疹やかゆみがおきる
では・・・金属がどうやって体の中にはいるのか?
これが皆さん以外と知られていないのですが・・・
【 金属は汗(体液)で溶けます 】
金属が溶け出した状態 = イオン化する
と、言います。少し難しいお話になってきた感じがしますが、ここがポイントなのです。
溶け出した金属は「イオン」と呼ばれるとてもとてもに小さな粒になります。(プラスイオン、マイナスイオン、聞いたことがありますね?)
その粒の大きさは、およそ「0.0000001mm」です。この粒がお肌にしみ込みます。「金属+汗」という条件が揃ってしまうと「お肌に金属がしみ込む」という現象がおきます。
金属の種類によって「イオン化しやすい、しにくい」という違いがあります。これをイオン化傾向と呼びます。少し難しいでしょうか。
「貸そうかな、まああてにするな、ひどすぎる借金」
貸そう (K) か (Ca) な (Na) 、ま (Mg) あ (Al) あ(亜鉛:Zn)て(鉄:Fe)に (Ni) する (Sn) な(鉛:Pb)、ひ (H) ど(銅:Cu)す(水銀:Hg)ぎる(銀:Ag)借(白金:Pt)金(金:Au)
これらは、傾向の高いものから低いもの、という順番で並んでいます。
つまり、「カリウムはイオン化しやすいが、金はイオン化しにくい」
金・銀・白金(プラチナ)が宝石に使用されているのは、イオン化傾向が小さく錆びないからとも言えます。カリウムやカルシウムは良くミネラルウォーターに表記されていますね。
そして金属アレルギーの観点から、どの金属が一番金属アレルギー患者が多いのかといいますと・・・
NO.1 ・・> ニッケル
NO.2 ・・> クロム
NO.3 ・・> コバルト
です。
こちらのグラフ、ピンクが女性でブルーが男性といった比率になっています。女性が圧倒的に多い理由としては、「女性のほうが金属に触れる機会が多いから」です。
最近では、歯科治療金属にパラジウム合金が使用されることが多くなってきているため「パラジウム」がNO.4に追い上げてきています。
このことから、なるべくお子様が「むし歯」にならないように歯磨きなどの口腔ケアに気をつけると良いでしょう。なぜなら、ここでも、金属アレルギー発症の「スイッチ」が見えるから。
「歯科治療金属」+「唾液」+「歯を削る」+「むし歯菌」
金属アレルギーは、発症のリスクをお母様が下げてあげることが出来るアレルギーです。
さて、金属アレルギー患者NO.1の「ニッケル」は私たちの身近にどのように存在するかと言いますと・・わかりやすい例としては、硬貨として使用されています。
☆ 銅とニッケルの合金 = 50円玉と100円玉
☆ 銅と亜鉛の合金 = 500円玉
他にはハイブリットカーに使用されたり、水素蓄電池の材料にも使用されています。
安価なアクセサリーですと「ニッケルめっき」が施されている場合があります。ニッケルはとても汗などで溶けやすい金属なので注意が必要です。
子供の金属製のおもちゃにも「ニッケルめっき」は使用されることがあります。もし、お子様でおもちゃを舐める時期に、お口周りや手などに原因不明のかゆみを伴う発疹がある場合は、金属アレルギーも検討され、皮膚科などの専門医に相談されると良いでしょう。
さて次回は、「アレルギー体質だから遺伝するの?」という疑問についてお答えいたします。お楽しみに。
筆者のご紹介:鈴木久子
IT業界でキャリアを築いた後、 結婚後出産を機に退職。2児の母。
金属アレルギー歴20年から得た知識と、それでもおしゃれをしたいという欲求から、自らを「金アレ族代表」と名乗り、前職とは異なる「素材の明確なアクセサリーを」を掲げネットショップ運営を行う。
それと平行し、金属アレルギーカウンセラーとしてセミナー講師活動を通じて金属アレルギーに関する啓蒙活動にも力を入れている。一般社団法人金属アレルギー協会代表理事。